これまで、ホームスクール全体の長所と短所について考えてきました。(準備中)
ホームスクールの長所と短所についてはコチラをご覧ください。
ホームスクールといっても、やり方は十人十色。どの方法が我が家にとって最適なのか迷ってしまいますよね!
ホームスクールは大きく分けると以下の3タイプに分けられます。
①アンスクーリング
②アカデミックホームスクール
③エクレクティックホームスクール(この記事)
今回はホームスクールでも、このエクレクティックホームスクールに焦点を当ててみましょう。
では、エクレクティックホームスクールとはどんな学習方法なのでしょう?ホームスクールの中でも、この方法を選択するメリットとデメリットはなんでしょうか?
目次
1.エクレクティックホームスクーリングって何?
カリキュラムについて
・アンスクーリングとの違い
・アカデミックホームスクールとの違い
どういう人が選択するの?
どんなことをするの?
2.エクレクティックホームスクーリングの長所と短所
5つの長所
5つの短所
3.おわりに
1.エクレクティックホームスクーリングってなに?
エクレクティック(Eclectic)は直訳すると折衷(せっちゅう)といい、このタイプのホームスクールはアンスクーリングとアカデミックホームスクールの中間のような方法です。
アメリカではその手法から、「リラックスホームスクール」と呼ばれることもあります。
とても人気のある方法で、学術的な教育を行いつつも、学校で教える全ての内容を教えるのではなく、必要に応じて内容を選択して教えます。
座学の時間がアカデミックホームスクールと比較すると短くなるので、残りの時間はアンスクーリングのように柔軟に過ごすことができます。
◆カリキュラムについて
エクレクティックホームスクールのカリキュラムは、アカデミックな教育要素だけではなく、子供の興味と最適な学習スタイルを考慮します。
それぞれの子どもに最適な学習方法がとれるように、様々な教材やリソースを活用します。
「算数小学校1年生」「国語小学校2年生」のようにある教科について作られたコースを活用したりすることはありますが、アカデミックホームスクールとは違い、「1年生用全教科」のような特定のコースのみを受講することはありません。
エクレティックホームスクールとは、このように数あるリソースを選択し「自分でカスタマイズするホームスクール」です。ある人は「ビュッフェ・スタイル」と呼んでいます。面白いですね!
・アカデミックホームスクールとの違い
アカデミックホームスクールのカリキュラムでは、学校で学ぶ教科全てに関して子どもは決められたカリキュラムに従い、授業や活動を行います。
一方のエクレクティックホームスクールでは、1つの科目にはホームスクール用カリキュラムを使用し、別の科目にはオンラインコースを使用し、また内容によっては子どもが興味を示さなければ、カリキュラムに組み込まないこともあります。
・アンスクーリングとの違い
エクレクティックホームスクーリングは、オンラインコースから対面のクラス、さらにはホームスクールカリキュラムの要素まで、さまざまな学習ツールを取り入れるホームスクールの方法やアプローチです。
一方のアンスクーリングは、子供の興味に従って進む子供主導の学習です。生活の中から全て学ぶのが特徴です。
エクレクティックホームスクールでは一部(例えばある教科について)によってはアンスクーリングの手法をとることもあります。
◆どんな人が選択するの?
①効率のいい知識教育をしたい人
エクレティックホームスクールを選択する人は、効率的かつ効果的な教育方法であると考えています。
自分たちが「必要度が絶対ではない」と考える内容については座学で学習する必要はないと考えています。教える内容を最低限にすることによって、効率的に学習を終えることができるのです。
学習内容や教科によって最も子どもに合っていると思う教材や方法を選択することで子供たちがより効率的に知識を獲得できるようにしたいと考えているのです。
私のブログで紹介していた「13歳までに高校卒業レベルの知識を身に着ける方法」は、このエクレクティックホームスクールだからこそ実現できる方法です。
②自由と必要のバランスを重視する人
エクレティックホームスクールを選択する人は、「自由」と「必要な学習」のバランスを重視しています。
子どもが自分の価値観を形成できるように考えて子どもの自由を尊重しつつも、必要な基礎教育を適切にすることが大切だと考えています。
教育の質と子どもが心を発達させるための十分な時間を確保するためのバランスを追求しています。
◆どんなことをするの?
エクレティックホームスクールでは、親が最低限の教育を考え、到達目標を立てます。どの教科についてどこまで教えるのか、いつまでにその目標を達成したいのかを明確にします。
目標を設定したら、それぞれの内容に適したリソースを見つけ、学習スタイルやペースに合わせて教材やアクティビティを調整します。
子供たちが自己責任を持って積極的に学べるように励まし、時間管理や目標設定のスキルを身に着けられるようにします。
また、座学で教えない教科については、アンスクーリングのように生活から学ぶ機会を逃さないようにする必要があります。
定期的な評価を通じて学習の進捗状況を把握し、必要に応じて学習計画や教材を調整し、日々変化する子どもの学習ニーズに答えられるようにします。
2.エクレクティックホームスクーリングの長所と短所
では、アンスクーリングやアカデミックホームスクールではなく、エクレクティックホームスクールを選択するメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?具体的な長所と短所を見ていきましょう。
◆5つの長所
①進学の問題が起きにくい
ホームスクールのデメリットでよくあげられる進学問題ですが、アンスクーリングのような方法に比べると、エクレクティックホームスクールではその問題は起きにくいです。
もちろん、何をどこまで教えるのかによって変わりますが、アカデミックな学習もするため、進学したくなった時に学習しなければならない量は少なくなります。
エクレクティックホームスクールでは我が家と同じように学習に比較的時間がかかる言語と数学分野はしっかりと教える家庭が多いようです。
詳しい進学の話についてはこちらの記事をご覧ください
②基礎学力と興味の追及のバランスが取れる
アカデミックホームスクールでは学力がしっかりとつく一方、子どもの興味に合わせた活動のための時間は短くなってしまいます。
反対にアンスクーリングでは子どもたちに自由を与え、失敗体験を繰り返すうちに、論理的思考や被認知能力のスキルがしっかりと身につきます。しかし、あらかじめ決めた学習到達目標がないため、特定の教科について一部の知識があるものの、教科全体についての知識はない可能性も高いです。
エクレクティックホームスクールでは、基礎学力と論理的思考・被認知能力の両方を伸ばすことができるバランスの取れた学習法と言えるでしょう。
③苦手にたいして自由なアプローチができる
アカデミックホームスクールでは、苦手なことも人並みにできるように教育します。一方、アンスクーリングでは、苦手なら大人になってからも必要になる可能性は低いから教える必要がないという考え方です。
エクレクティックホームスクールでは、どちらのアプローチを選択するかは親子次第です。
子供と話し合いながら、「苦手だけど必要だと思うから頑張る」という選択肢や、「苦手を無理して学習するよりも得意なことを伸ばすために時間を使う」という選択肢を自由に選ぶことができます。
もし苦手なことに取り組むことを選ぶなら、十分な時間をかけてゆっくり学ぶこともできるのです。
④学習を早く終えられる可能性が高い
アカデミックホームスクールでも学習時間や期間を短縮することは可能です。学校の授業は一定のペースで進んでいくため、学校で一時間かけて学ぶ内容でもホームスクールでは30分で済む場合や、一時間で2倍の内容を学習できる場合もあります。
しかしながら、エクレクティックホームスクールの方が早く終わる可能性が高いです。なぜなら、教える内容を絞っているので学習量が少なく、またよりその子に適切なカリキュラムを選択できるからです。
⑤合っていないカリキュラムを使う必要がない
学習の効率を考える際には、子どもがどのように学ぶのが得意なのかを考慮することが重要です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
ブログ記事
アカデミックホームスクールでは通常、同じメーカーの教材を1学年分一括で購入します。教科書だけを使用する場合でも同様ですが、質の高い教材であっても、全ての内容があなたの子に理解しやすい作りであるとは限りません。
一方、エクレクティックホームスクールでは親が個々の教材を検討し、子どもに合わせて適切な学習法を選ぶことができます。もしも合わない教材や学習方法があれば、すぐに別の教材に切り替えることができます。
このように柔軟に教材や教え方を変えることで、子どもが理解しやすく、より効果的で効率的な学びを提供することができます。
◆5つの短所
①費用はやり方次第で全く違う
エクレクティックホームスクールでは費用を節約できることもあれば、逆に費用がかかることもあります。
セットになったカリキュラムを購入するアカデミックホームスクールでは一括で購入する分、高価に見えるかもしれません。
しかし、自分自身で必要なものを組み合わせる方法ではコストを読めないこともあります。買い足していくうちに、気が付いたら結構な金額を使っていた! ということもありえるのです。
②使わない教材があるかも
先ほどメリットでわない教材や学習方法があれば、すぐに別の教材に切り替えることができると書きました。これは無駄になってしまう教材がある可能性を指しています。
使わないまま本棚に積み上げる教材もあるかもしれません。試してみたいと思う教材を集めすぎたり、上手くいかなくて使うのをやめた教材が箱に詰められていく可能性もあります。
幸いなことに、ホームスクールに慣れれば、子どもが好きな教材もわかってきます。そのため、ホームスクールを長く続けていけばこの問題は起きづらくなります。
子どもにとって効率の良い教材選びには学習タイプの理解も大切です。ぜひこのブログ記事を参考にしてみてください!
ブログ記事
デメリット①のコストの話にも繋がることなので、教材を購入する際にはしっかりと検討することをオススメします!
③兄弟に同じ方法が使えない可能性がある
アカデミックホームスクールでは、一度良い教材に出会えればそれを兄弟にも使い続けることが一般的です。
しかし、より個性に合わせた学習を重視するエクレクティックホームスクールでは、個々の個性に合わせて教材を用意するため、兄弟でも異なる教材や教育方法が適している場合があります。特に先ほど紹介した学習タイプが異なる場合は全く異なる教材を選ぶことになるかもしれません。
④教材探しに時間がかかる
やはり、アカデミックホームスクールに比べると教材探しに手間がかかることは確かです。アカデミックホームスクールでは、質の良い「自分の子どもの年齢に合わせたパック」を見つけるだけで済みますが、エクレクティックホームスクールでは、教科ごとや内容に合わせて教材を用意するために検索や検討に時間がかかるでしょう。
もしも特定の出版社を多くの科目で使用することを決めていたとしても、カタログやウェブサイトの誘惑に抗えないかもしれません。ただ単に「今何があるか見るために」です...
⑤自分たちのスタイルを確立するまでに時間がかかる
エクレティックホームスクールのスタイルを見つけるには時間がかかるかもしれません。選べる教材やツール、カリキュラムの組み方に至るまで、星の数ほどの組み合わせがあります。
そのため、「我が家の最適なスタイル」を見つけるまでに数年かかることもあります。もちろん、一度このスタイルを確立すれば、これほど楽しいことはありませんし、信じられないぐらいの成果をあげられるでしょう!
3.おわりに
アカデミックホームスクールとアンスクーリングの長所のいいとこどりをしようというスタイルのエクレクティックホームスクール。もちろん、それゆえの短所もあります。
他の2つのホームスクールのメリットとデメリットも確認したうえで、あなたのご家庭にピッタリな方法を選んでみてくださいね!
この記事が少しでも、皆さんのホームスクールスタイル選びのお役に立てることを願っています!
次回は
エクレクティックホームスクールを成功させる
やること・やらないこと10のヒントと学校からの切り替え方
です。ぜひこちらもご覧ください!